水溜まり。

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鳥籠
空には、灰色の
どこか無機質な
雲が一面に

外の蛇口から出てくる水が
地面で、弾けて
履いていた
ズボンに、服に

風が、
五指のひとつ、ひとつを
切り裂いていく間にも
籠は、ばらばらに
洗われて、いき

音は、気づかないうちに
失われれて
ふいに
掬うように
繋がれた両の手のひらに
空白の、重さが
重さが染み着いて

空は、一点の隙間もなく
灰色の雲が
辺りをおしつぶすように
下へ、下へと

流れでる水は
瞬く間に
地面で、弾けて
履いていたズボンに、服に
ごびりついて
離れていかない
| 12:50 | | comments(2) |
オリオン
春には、からだ中をくるくるとまきついてくる風を抱きしめては
夜にゆられている星をみつめています
きらり きらり
オリオンを見つけると
心が静かな波のように、なって
しゅるしゅるとからだから離れていく風は
どこへ、いくのでしょう
木々が今日も
やさしく鳴いています
 
 
夏には、太陽にさよならをしている間に
ぽつり ぽつりと
ちいさくきらめく星を見つけることができます
地平が、まるで終わっていくように燃えゆく後ろで
たしかな光を、はじまりのように放っているのです
大地が消えるとたちまちに
眠りについていた星たちが目を覚まして
夜の空を見守るやわらかな眼差しで
ふわりと、灯していきます
その中に、
オリオンは居るのです
 
 
秋になると、からからと乾いた音をたてながら
はらり はらり
枯葉たちが笑いかけてくれます
褪せていく命と、褪せない命と
太陽と雨曇はみんなに
やさしいんだって
そんなあたりまえのこと
あらためて思ったりしている間に
降りてくる夜が静けさを纏いはじめて
そのうちに
星たちも囁き声になって
それを見上げるわたしもついつい声を無くして
オリオン、あなたばかりを見つめてしまうんです


吐く息が真綿のように
やわらかなかたちを彩ってゆく冬は
気まぐれな灰色の雲に
せかい中が押しつぶされてしまいそうになります
そこらじゅうで凍りはじめる空気の音が聴こえてくるくらい
鎮まる大地に
風さえも声をなくしてしまって
それでも、夜になれば
オリオンから広がっていく天界に
浅く吐き出した息がふっと消えていくのを
見送る気持ちで見つめています
きっとそれは、
この瞳が続くかぎりいつまでも
いつまでも続くのだと
オリオン、
今もこうして
あなたを見つめています
 

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